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現役教員のお悩みに、元教師の「心理カウンセラー」がお答えしています。お悩み解決のヒントにしてくださいね。
初めての高学年(5年生)で、子供との信頼関係が上手く築けず、クラスが荒れてしまいました。
何もかもが上手くいかず、今では教師として自信を持つことができません。どうすれば自信を取り戻せるようになりますか?
Nさん(女性)、小学校教諭、教職8年目
このようなご相談は、教師歴にかかわらず多いお悩みです。
今まで自信を持って教師をしていた方でも、何かのきっかけで自信を失ってしまったというケースは増えています。
まずはじめに、自信がなくなってしまった状態がどんな状態なのかを考えてみたいと思います。自信がなくなったということは、以前、自信を持てていた時期があったということです。そうでなければ、自信が「ない」ということは分からないはずです。
全てのものには必ず二面性があります。
たとえば、美しいと汚いは、別々にあるわけではありません。美しいは汚いものがあるから、美しいと呼ばれるわけです。善悪だってそうですね。善は悪があるから、善と呼ばれます。同じように「在る」のも、「無い」があるからこそ、在りうるわけで、お互いに片一方だけというのは在りえないのです。
自信を持てていた時期が過去にあったという事実。そこに自信を持つためのヒントが隠されています。
次に自信について知っておきたいことは、自信を持っている状態とは、精神的な状態のことです。つまり、自信を持っているという「心の感覚」です。「心の感覚」を考えや気持ちだけで変えるのは難しいのです。
ですから、自信を持とう!と強く願ったところで持てないのが現実です。
では、自信という精神的な状態(心の感覚)を持つにはどうすればいいのでしょうか?
精神的な自信を実感できるには、そこには必ず自信を持っている「行動や習慣」があります。つまり、本当の自信を感じるためには、「行動や習慣」を変える必要があるのです。だから、自信を持つにはちょっとしたコツを知る必要があるのです。
自信を持つにはさまざまな方法がありますが、その一つをご紹介しましょう。
それは、「過去を振り返り、自信が持てていた状態と、今の自信が持てていない状態の違いを探してみる」という方法です。そこでの自分がどんな行動や習慣、言葉遣いをしていたのかを探ってみるのです。そして、それを紙に書き出してみます。
たとえば、「元気にあいさつしていた」、「仕事を家に持ち帰っていなかった」、「デスクが整理整頓されていた」、「絶好調!」を連発していた。など、どんなに小さなことでもいいのです。
まずは、紙に書き出してみます。そして、今の自分に無理なく簡単にできることを始めてみます。一度できたことであれば、抵抗なくできることがひとつくらいあると思います。
小学校教諭Nさんは、自信が持てていた時期に、週2回の剣道をしていたことがわかりました。そこで、週1回から剣道をやり始めたところ、日常生活にめりはりができ、子供との関係もうまくいきはじめ、自信を取り戻していきました。
どんな小さなことでもいいのです。「自信を持てていた過去の自分」がどんなことをしていたのかを探り、それを始めてみる。大きな変化を求めようとすると、大きなエネルギーが必要ですが、小さな変化であれば、小さなエネルギーでいいわけです。
小さな変化を積み重ねていくことで、それがいずれ大きな変化へとなっていくのです。
周囲からは教師向きだと言われ、教師を目指してきました。
その結果、教員採用試験に一発合格。ですが、生徒との関係が上手くいかなくなってきた3年目くらいから「こんな私は教師に向いていないかも?」という思いが出てきてしまい、前向きに物事を考えることができなくなりました。
本当にこんな私が教師を続けていてもいいのでしょうか?
Fさん(女性)、中学校教諭、教職歴5年目
まず、客観的な事実だけでいえば、教員免許を取れた。教員採用試験に受かった。ということは、教師にふさわしい人物であるということです。
教員免許を取得するには、多くの場合、大学で専門的な知識を学ばなければなりません。教育実習も受けなければなりません。とても大変なことです。誰もが取得できるわけではないということです。教員採用試験に受かったということは、あなたは選ばれた人なのです。
つまり、教師は誰もができる仕事ではないのです。
ですが、そのような考えにとらわれてしまったら、自分の考えを疑ってみることも必要です。
なぜなら、そういった考えは、「思い込み」である場合が多いからです。「教師に向いてないかも?」という考えに対して、「本当に、今考えていることは真実か?」と自問自答してみることです。
客観的に判断すれば、大変な思いをして教員採用試験に合格した。生徒を教育する立場である。という事実は、教師として選ばれたわけですから、教師をしていてもいいのです。
「私だからこそ教師になれたんだ!」と、思ってもいいのです。
そうはいっても、「こんな私が教師をしていてもいいのか?」と感じてしまう人は、カウンセリングをしていて多いお悩みです。そういった人の多くは、自己評価が低いようです。
つまり、自分に対する自分への評価と、周囲の人からの評価にギャップがあるということです。だから、いくら周囲に認められても、「こんな私が教師を・・・」と思ってしまうのです。
それでは、自己評価を上げるにはどうすればいいのでしょうか?
自己評価を上げるためには、さまざまな方法がありますが、そのひとつに「禁止令を解(と)く」という方法があります。禁止令というのは、成長を妨げているネガティブな暗示のことです。
たとえば、子どもの頃に、常日頃から「ダメだ、ダメだ」と言われる。「あなたは何をやってもダメね」「あなたは何もできないダメな子だ」そう言われ続け育った子どもは、本当に自分はダメな人間だと思い込んでしまいます。
そんな子どもが大人になったら・・・挑戦できない、または挑戦するのが恐い行動パターンを示すのはいうまでもありません。
Fさんは、過去の行動パターンや習慣から、「私は何をやってもダメだ」「私は価値のない人間だ」という禁止令が強いことがわかりました。
そこで、「私は素敵な人間になって、仕事を楽しんでもいい」「私は価値ある人間になって、幸せになってもいい」と、自分自身にポジティブな暗示をかけるようにしました。
今では時々「こんな私が教師を・・・」という思いが顔を出すものの、以前よりは、ましになったといいます。自己評価の低い人は、少しくらい自分に酔ってしまうくらいの方が、ちょうどいいのかもしれませんね。
ここ数年児童との関係で悩んでいます。
熱心に教えているつもりなのに、子どもたちには伝わっていないようです。反発する子も増えてきています。このままでは、学級崩壊してしまうかもしれません。過去上手くいっていた時期もありましたが、その当時と同じように接しても上手くいきません。
どうすれば子どもたちとの信頼関係を築けるようになるでしょうか?
Kさん(男性)、小学校教諭、教師歴10年目
教育熱心なKさん。常日頃から教育のことを考え、どうしたら授業や子どもたちとの接し方が上手くいくだろうと考える習慣がありました。
常にアンテナを張り、休日も、買い物に出かけては「これは授業に使える!」と仕事に結びつける日々を送っていました。それほど、子どもたちのことを真剣に思える熱心な教師です。
ですが、あまりにも熱心すぎてしまい、児童との距離感が近すぎる部分もあり、思うように動いてくれないとイライラしてしまうことも。イライラを厳しい言葉や態度としてぶつけてしまい、児童との関係が上手くいかないことや、保護者にも責められ、落ち込むこともありました。
「教師をやめようか」とまで本気で思うようになっていました。
「このような状態を何とかしたい!」と感じたKさんは、本気で自分自身を変えようと、カウンセリングを受けることになりました。さまざまな心理療法をおこなう中で、「モデリング」という手法がKさんにはマッチしたようです。
モデリングとは、簡単にいうと、自分の願望をすでに実現している人の真似をするという手法です。
つまり、その人が、その願望を達成するためにしてきたことと同じことをしてみるのです。ただ全てを真似することは難しいので、数人を部分的に真似をしていきます。
たとえば、松下幸之助さんの「信念」、イチローさんの「行動」、大島優子さんの「言葉遣い」などを組み合わせ、そこに自分なりの「考え」を加えていきます。
そうすることで、誰にも真似できない自分だけのオリジナルができるようになるのです。
オリジナルというと、ゼロから生み出すように考えがちですが、組み合わせてもいいのです。そこに自分なりの何かが入れば、絶対に真似できない唯一無二の存在になれる、というわけです。
ポイントは、「信念」「行動」「言葉遣い」など、それぞれ別々の人をモデリングするのが自然です。そのモデルの行動は見習いたくても、信念や言葉遣いを見習いたいとは思わないことも多いものです。なるべく多くの人をモデリングしてみて、自分が求めているものを見つけてみてもいいでしょう。
Kさんは、カルチャースクールの先生の「声かけ」や、「接し方」が非常に参考になったといいます。
こういう声かけや接し方もあるんだと、深く感心したKさんは、それをさっそくモデリングしたところ、子どもとの関係が上手くいき始めました。
そして、児童との距離感が近すぎたがために、関係がぎくしゃくしてしまったことに気づきました。また、過去の成功体験にしばられ、変化を求めていなかったことも、上手くいかなかった原因だとわかりました。
仕事を上手くいかせるヒントは生活の中にある!と気づいたKさんは、今まで以上に教師の仕事に面白味を感じている様子です。
何もかもが初めてのことで、これからのことがとても不安です。
心の整理がつかず、頭の中がごちゃごちゃで何を優先して仕事をしていいのかも分かりません。「上手くいかないかも」、「失敗したらどうしよう?」という漠然とした不安ばかりが浮かんでしまいます。
どうしたらこのような気持ちを整理できるでしょうか?
Aさん(女性)、高校教諭、教師歴1年目
こういったケースは教師に限らず、多いお悩みです。
人は何か新しいことを始めたり、自信のないことをおこなう場合、「不安」を感じることが多いものです。「不安」は人間として自然な感情です。
ただ、「不安」を感じ続けるというのも苦しいところです。時には自分自身を見失ってしまうこともあります。
そんな状態に陥ってしまう前に、紙に書き、自分自身を客観視することからはじめてみましょう。そうすることで、気持ちが整理されていきます。
人の特徴として、どうしても一人で考えている時は、同じことをグルグル考えてしまいがちです。
その考えは永遠に果てしなく続くように感じてしまうこともあります。そして、疲れている時や悩んでいる時などは、おそらく、考えていることの8割~9割くらいはネガティブなことでしょう。
「どうして私は自信が持てないんだろう?」「なぜいつも上手くいかないんだろう?」といったことばかりを無意識に考えているのではないでしょうか。そうすると、思考パターンもネガティブにしかなりませんし、それに伴って行動も起こせなくなってしまうものです。
そのような思考に一旦歯止めをかけるのに有効なのが、紙に書くことなのです。
紙に書くという行為は、思考に歯止めをかけるのに有効です。なぜ有効かというと、限界があるからなのです。人間は永遠に頭の中のことを書くことはできません。同じ文字を書くことはできるかもしれませんが、それでも手が疲れてしまいます。
また、自分自身を客観的に見ることができます。そうすれば、今悩んでいることや、「本当はこうなりたいんだ」「こうしたいんだ」ということも分かるかもしれません。
では、どんなことを紙に書き出せばいいのでしょうか?
これはその時の心境や、状態にもよるのですが、心が整理されないという状態であれば、今の悩みや問題、不安、心配ごとなどを書いていくといいでしょう。それは、漠然としたことでもいいですし、具体的なことでもかまいません。
たとえば、「この先教師を続けられるか不安」「教師間の人間関係で悩んでいる」「家庭と仕事を両立できるか心配」などと、どんなに小さなことだと思うことでもいいので、書き出してみます。
そうすることで、現状を把握でき、何で悩んでいるのかも客観視できるようになります。
Aさんは紙に書き出すことで、ある自分の特徴がみえてきました。
それは、将来に対して漠然とした不安ばかりを抱いてしまうということでした。漠然としていますから、何が不安なのかも分かりません。それを具体的にしたのです。
「上手くいかなかったらどうしよう?」と悩むのではなく、「上手くいかなかったらどうなっているだろう?」と最悪のケースを想像するようにしたのです。そうすることで、不安が具体的になり、具体的に不安に対処できるようになりました。
漠然とした不安から、具体的な不安に意識を切りかえるだけで、問題解決の糸口が見つかることもあるのです。
悩んでいることがたくさんありすぎて、どうしていいのか分かりません。
教師間のコミュニケーションが手くいかないこと、子どもたちが集中して授業がおこなえないこと、自信が持てなくなりネガティブに考えてしまうことなど、もともとネガティブ思考だったわけではなかったのですが、今、とても苦しい状態です。
どうしたら前向きな思考になれるでしょうか?
Hさん(女性)、小学校教諭、教師歴7年目
悩みがたくさんありすぎて、悩みの渦にのまれてしまっている状況です。
これでは苦しいと思いますし、自分自身を客観視するのも難しいでしょう。こういった状況では、常に悩んでいるので思考パターンもネガティブになってしまうのもしかたがありません。
このような状況に陥ってしまったとき、どうすればいいのか、その解決策をご紹介しましょう。書き出す項目は2つです。
まず、「解決したい自分の問題」を書き出します。これはコントロールできることを知るということです。
コントロールできるだけに焦点を当てることが問題解決のコツでもあります。多くの人の思考パターンとして、疲れているときや苦しいときは、相手の問題をも変えようとすることがあります。
例えば、相手の「性格」や「考え方」を変えるのは難しいことです。ですが、疲れているときは、何とかして変えてやろう!と思ってしまうこともあります。なので、何が自分の問題で、何が自分の問題でないのかを明確にしておくことが大切なのです。
こうして書き出してみると、悩んでいることは案外少ないことがわかるでしょう。人は100の悩みがあったとしても、その時々、その瞬間で悩んでいることは1つです。
その1つの悩みに焦点をあて、全力を尽くせばいいのです。
次に、1年以内に「こうなっている」「こんなことをしている」という願望を書き出します。ここでのポイントは、「~している」という表現で書いていきます。
たとえば、「自信を持って授業をする」ではなく、「自信を持って授業をしている」これだけで、イメージ(想像力)を使えるようになります。
そして、もし、違和感を感じるようであれば、「~しているかも」という表現で書いてみてください。違和感というのは、こんなこと私にできないだろうなという、理性が邪魔をしている場合です。
ですが「かも」は可能性なので、誰も否定することはできません。もちろん、自分の理性でも否定することはできないのです。この「かも」をつければ、たいがいのことは、違和感なく書けるはずです。最強の表現ですね。
人の特徴として、悩んでいるときや疲れているときは無意識に否定的な「かも」をとばしがちです。
たとえば、「上手くいかないかも」、「失敗するかも」そして実際に上手くいかない場面に遭遇すると、やっぱり上手くいかなかった。自分の考えは正しかったんだ、と自分自身を納得させようとします。だから、ここは少し強引にでも肯定的な「かも」をとばす必要があるのです。
たとえ今日が上手くいかない1日で終わってしまったとしても、「明日は上手くいくかも」「次は成功するかも」と、肯定的なかもをとばすのです。そうすることで、ポジティブな感情で今日1日を終えることができるでしょう。
人は失敗したことに苦しみ続けるわけではありません。「失敗したらどうしよう」「上手くいかなかったらどうしよう」という「予感」で苦しむのです。この予感を解消するためには、肯定的な「かも」を意識的に飛ばす必要があるのです。
すぐ感情的になって生徒を怒ってしまいます。
怒りがおさまらないときは、表情に出ていると思うし、ピリピリ感が授業で伝わってしまっていると思います。家に帰ってから、なんであのとき怒ってしまったのか、といつも反省します。こんな怒ってばかりいる私は「教師失格ではないか」とさえ思うこともあります。
どうすれば、怒りをコントロールできるようになれるでしょうか?
Yさん(男性)、中学校教諭、教師歴3年目
怒りは人間として自然な感情ですので、怒りを感じること自体は悪いことではありません。問題は、それを八つ当たりみたいに生徒にぶつけてしまう事です。
みなさんはどんな場面に遭遇すると怒りを感じるでしょうか?
「大切な人を傷つけられたとき」「秩序を乱すことを誰かがしたとき」「自分の思い通りにならなかったとき」など怒る場面は、人それぞれ違うと思います。ここでのYさんが感じている怒りは、「自分の思い通りにならなかったとき」の怒りです。
人間の心理として、多くの人は、意識しているいないにかかわらず、1日が計画通りに進むことを期待しています。
だから、予期しなかった問題が生じたときや、誰かが予期しなかったことを求めてきた時、フラストレーション(欲求不満状態)がたまり、イライラしたり怒りを感じるのです。
心理療法には「フォーカシング」という技法があります。
簡単にいうと、感情の対処法です。これは、身体の感覚を通じて心の声を聴くという手法で、今感じている感情を、胸や胃などの身体に焦点をあて、そのまま受け入れることから始まります。
ですが、「怒りや憎しみ」などの攻撃的な感情は、二次的感情ですので、これを感じて、これにひたってしまうことはお勧めできません。この二次的感情というのは、本来の感情を感じたくないがために出てくる感情です。
つまり、本来の感情である悲しみや不安や孤独などを感じたくないために、無意識に、怒りや憎しみなどの二次的感情にすり替えているのです。
ですので、怒りや憎しみなどの攻撃的な感情については、それをそのまま感じるのではなく、その背後にある本来の感情を探って、そちらを感じるようにしていきます。怒りの背後にある感情を感じるということが、怒りをコントロールすることにつながっていくのです。
そうはいっても、なかなか怒りの背後にある感情を感じるのは簡単なことではありませんので、簡単にできる怒りの対処法をご紹介しましょう。
怒りの対処法は、まず、怒りは、人間にとって自然な感情であることを認識することです。
怒りを感じることに罪悪感は必要ありません。怒りを否定するということは、怒りを感じている自分自身をも否定することになってしまいます。これでは、自分の存在価値を傷つけていることと同じなので苦しくなってしまいます。
次に、家に帰り、落ち着いた状態で「今日怒ったのは、何がそうさせたのか?」と怒りの背景(理由)を探っていきます。そうすれば、「計画通りにいかなかった」「想定外のことが起きてしまった」という理由が考えられるかもしれません。
そして、計画通りにいかなかったのなら、次の授業に向けて計画を練り直せばいいですし、想定外のことなら、想定内になるようにあらかじめ作戦を立てておく、といった対策がとれるのではないでしょうか。
コントロールする対象を、感情ではなく、行動にするというもの、感情を対処する方法でもあるのです。
隣のクラスと競争している自分がいます。
隣の担任は教師歴20年のベテラン先生で、キャリアも違うし比べてもしかたがないと分かっているのですが、自分のクラスより上手くいっていることがあると、妬んでしまいます。嫉妬しまう自分も嫌いです。
どうしたら、比べないで自分らしくいられるでしょうか?
Tさん(男性)、小学校教諭、教師歴4年
嫉妬という感情は、人間だからあって当たり前!!
あるに決まっているものをなくそうと努力するから疲れるのです。だから、自分の中で嫉妬心がムクムクと頭をもたげてきた時は、「ああ、私にも嫉妬心があるんだな」と思うのが一番いいんです。
Tさんは、ベテラン教師の学級経営が上手いところに嫉妬していました。ただ、嫉妬を嫉妬のままにしていたら、マイナスのエネルギーしか生まれないので、なるべく嫉妬をプラスのエネルギーに変えていく必要があります。
ですが、そもそもなぜ人は嫉妬をするのでしょうか。
例えば、サッカー選手はワールドカップに出るような選手に嫉妬はしても、陸上競技でオリンピックに出るような人には嫉妬しません。なぜでしょうか?
それは、はじめから陸上競技でオリンピックなんて無理だと思っているからです。人間は、始めから無理だと思っていることには嫉妬しないのです。
つまり、嫉妬するのは、自分にも可能性があるから、望みがあるからだと思えばいいのです。
そして、そう思ったら、それに対応することを始めればいいのです。サッカー選手であれば、強靭な身体を作るために、ジムに通ってみるとか、メンタルを強化するとか、無理なく簡単にできることから始めてみます。
そうすれば、ただ嫉妬して周りにイライラをまき散らしたり、人の足を引っ張ることにエネルギーを浪費したりしてるのと、結果が全然違ってくるのです。
Tさんは、まずは学級経営の本を買いました。学級経営を上手くいかせるためには、何をすればいいのか、真剣に考えました。
そして考えた末に出した結論は、「今抱えている問題は自分一人では解決できそうもない」ということでした。
Tさんが対応すべきことは、周りの先生に助けを求めることでした。いま、学級経営が上手くいっていないで苦しい、どうしても対応に困っている児童がいる、と周囲に伝えることでした。
しかし、それはTさんにとって、とても勇気のいることだったのです。
なぜなら、Tさんは人一倍責任感が強く、何でも自分一人で抱え込んでしまう傾向があったからです。
助けを求めたら、「自分は弱い人間」、「教師としてダメなレッテルを張られる」。そう思い込んでいたのです。ですが限界を感じたTさんは、勇気を持って現状をありのままに打ち明けました。
打ち明けると気分がラクになったといいます。
教師をカウンセリングしていて実感することは、全てを自分で何とかしようとする「責任感の強い教師」が多いということです。
何とかなるのであれば、そうできるに越したことはありません。
ですが、何とかならないのであれば、時には助けを求めることも必要だと思うのです。
はじめは勇気がいるかもしれません。でも、長く教師を続けていくのであれば、自分自身を守るという意味で、勇気を出す価値はあると思います。どんなに努力をしても、どうしようもならないこともあるのですから。
初めて6年生の担任を任されたということもあり、かなり気合を入れて、子供たちに接してきました。
しかし、頑張れば頑張るほど空回りしている感じがしています。クラスでは男女の仲は悪く、決して学級崩壊しているわけではないのですが、真剣に話をしても、子供たちの心に響いていないような気がします。「自分はダメな教師かも」と思うこともしばしばです。
どうすれば子供たちと信頼関係の築ける「いい教師」になれるでしょうか?
Yさん(男性)、小学校教諭、9年目
「教師として、子どものために何かを伝えたい」という気持ちが強いYさんは、朝5時半に出勤し、退勤も遅い頑張り屋さん。「もっともっと努力をしないと!」と、身体にムチを打って頑張り続けていました。
しかし、頑張れば頑張るほど苦しくなり、朝起きて憂うつな気分を感じることが多くなっていました。
自己否定感が強く、「自分は児童に迷惑をかけている」「自分は逃げているダメな教師」とすべてを自分の責任にし、自分自身を責めることもしばしばで、そう思うと、こんな自分が教師をしていていいのか、辞めたほうが子どものためになるんじゃないのか、とまで思うようになっていました。
そのような状態でカウンセリングにお申込みされました。
Yさんには、事実を客観的に把握してもらいました。
すると、そんなに悲観的になるほど苦しい状況ではないことが分かってきます。
現状は、子どもたちとの関係はギクシャクしてはいるものの、授業は成立している。話を妨害されているわけでもない。保護者からのクレームもない。「今思っていることは、自分の思い込みかも」と考えることで、少しだけ気分がラクになったといいます。
「自分はダメな教師かも」にも、事実と照らし合わせてもらいました。
過去9年間、保護者からのクレームは1件。その1件は、Yさんが出張していたときに起きた出来事でした。
本人は、保護者が何も言ってこないのは、「自分が期待されていないからだ」と思い込んでいましたが、本当にそうでしょうか?本当にダメな教師ならば、保護者からのクレームは過去9年間でもっと多かったはずです。
Yさんは、「理想と現実」のギャップが大きかったようです。
どんな理想を抱いていたのか? それは、みんな笑顔で、全ての児童との関係が良好で、クラスが団結して、みんなが思いやりの気持ちを持って、・・・というまさに青春学園ドラマのような理想を描いていたのです。
ですので、「そうできない自分はダメな教師」だと思い込んでいたのです。
確かにそうできるに越したことはありません。理想を高く抱くことも悪いことではありません。
しかし、「理想と現実」とのギャップが大きすぎると、人は苦しくなることもまた事実です。理想が高すぎたことに気づいたYさんは、現実を客観視できるようになりました。
今は悲観的になるほど悪い状態ではない。自分はダメな部分もあるけれど、決してダメな教師ではない。と思えるようになりました。
Yさんあなたは、子どものことを真剣に思えるそんな素晴らしい教師です。子どものために自己犠牲もいとわない、そんな素晴らしい教師です。あなたは、教師としてよく頑張っています。だから、もう少しだけ自分自身を大事にしてほしいです。自分の幸せも考えてほしいです。体をいたわってほしいと思います。
教師が幸せであることが、子どもたちの幸せにもつながるのですから。
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不定休
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